皆さんは、親知らずを抜歯しましたか?抜歯した方、特に痛みなどの症状がなく生えたままの方、痛みや腫れなど違和感がありお悩みの方…さまざまだと思います。
親知らずは、症状が出ている方はもちろん、出ていなくても放置していると将来的にトラブルが起こるケースもあります。今回は、親知らずを抜歯したほうがいいケース、抜歯した場合・しない場合のメリットやリスク、抜歯治療と抜歯後のケアなどについて詳しく紹介します。
☆そもそも「親知らず」とは?
親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれ、前歯から数えて8番目、口腔内の一番奥に上下左右の合計4本生えます。通常、永久歯は15歳頃までに生えますが、親知らずはおよそ17歳から25歳の間、親も知らぬ間に生えるため「親知らず」と呼ばれています。
一般的には上顎の左右2本と下顎の左右2本の合計4本ありますが、もともと親知らずのない人や3本しかない人、2本しかない人、など必ずしも4本生えているわけではなく個人差があります。
また、親知らずの生えてくる場所が不足している、あるいは生えてくる方向が通常と異なるために埋伏(埋まっている状態)していたり、きちんと生えてこないことも多いです。
☆親知らずは抜歯した方が良い?
患者様に「親知らずは抜かないといけないんですか?」と聞かれることがあるのですがまっすぐ生えていて正常に機能していたり、良好な口腔環境で虫歯や歯周病になるリスクが低い場合や、骨の中に完全に埋まっている場合はむやみに抜かず残すのが良いでしょう。
また、手前の歯がなかったりする場合は、親知らずを土台としてブリッジや入れ歯を装着できるため残した方が良いというケースもあります。
ただ、親知らずやその手前の歯が、虫歯や歯周病などのトラブルを起こしている場合は、抜歯を検討した方が良いでしょう。歯ブラシも治療器具も届きにくく、治したとしても再発のリスクが高いためです。
親知らずが及ばす影響や症状
痛み/腫れ
周囲の歯肉が炎症を起こすことで、腫れて痛みがでる
繰り返すと手前の歯を支えている骨が溶けるなどの悪影響も生じます。
虫歯/歯周病
歯ブラシがきちんと当たらず、虫歯になってしまったり、口臭の原因や歯周病になるリスクが高まります。
親知らずだけでなく手前の歯も同じように虫歯や歯周病になることもありますので要注意です。
☆親知らずを抜歯しない場合のメリットとリスク
ㅇメリット
・正しい位置に健康な状態で生えている親知らずであれば残すことで噛む力と自然な歯列を維持できます。
・当然ですが抜歯をしないので、手術の痛みや出血、腫れなどは避けられます。
ㅇリスク
・親知らずは奥にあるため、歯磨きでは汚れを落としにくく、細菌が付着しやすいため、虫歯や歯周病を発症するリスクが高まります。
・歯茎に埋もれたり、斜めや横向きに生えている親知らずは、放置すると周りの歯を押し出したり、歯の根を吸収したりする恐れがあります。症状が進むほど治療も困難になります。
☆ 親知らずを抜歯した場合のメリットとリスク
ㅇメリット
・虫歯や歯周病、歯並びや噛み合わせの乱れなど、さまざまな問題を予防できます。
親知らずに限らず手前やその他の歯の健康を守ることもできます。
・親知らずが原因の痛みや炎症がある場合は、抜歯することで口内環境が改善されます。
ㅇリスク
・親知らずの状態にもよりますが、抜歯後、数日間は痛みや腫れが起こります。また、一時的に口が開きにくくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりします。状態に応じて、痛み止めなどの薬を処方します。
・親知らずの近くには神経が走っているため、抜歯の治療内容によっては稀に神経に影響が出る場合があります。また、上の親知らずを抜歯した場合、歯の状態次第では鼻腔につながる(交通する)ケースもあります。いずれも早期の対応が重要です。
・抜歯後の傷口や、露出した骨が細菌感染を起こす(ドライソケット)場合があります。痛みや腫れを伴いますが、正しいケアで改善できます。